小林研の太田渓介君が日本物理学会で学生優秀発表賞を受賞!

2021年3月に開催された日本物理学会第76回年次大会にて,小林研で教職大学院2年生(発表当時)の太田渓介が学生優秀発表賞を受賞しました!太田君は「24時間ではしりぬける物理」でも「太田先生の補講の時間」を務めたり,Eテレの番組「思考ガチャ!」やその前身「思考のジャムセッション」でもアシスタントを務めてくれています.

以下,本学HPでの紹介文を掲載します.

2021年3月に開催された日本物理学会第76回年次大会にて,本学教職大学院2年生(発表当時)の太田渓介さんが学生優秀発表賞を受賞しました。太田さんは3月に教職大学院を修了し,現在は都立高校の物理教員として勤める傍ら,研究を続けています。

今回太田さんは,「裸の特異点」が存在するかどうかを検証する方法について発表しました。特異点とはブラックホール中心にあると考えられている,エネルギーや圧力が無限に発散する場所のことです。ブラックホールに吸い込まれると光でも脱出できないため,特異点が存在するかどうかを観測で検証することは非常に難しいと考えられていますが,ブラックホール周囲の物質の種類や分布状態によっては特異点がブラックホールで覆われない可能性も指摘されています。そうしたむき出しの特異点は「裸の特異点」と呼ばれ,相対性理論における需要な研究対象の一つです。

太田さんと共同研究者である小林晋平准教授(本学自然科学系物理科学分野),中司桂輔さん(本学大学院教育学研究科修了,発表当時立教大学博士課程3年生,現在国立高知工業高等専門学校助教)は,そうした裸の特異点が宇宙に存在するかどうかを明らかにするため,ブラックホールと裸の特異点のそれぞれの周囲では粒子の運動が異なり,特に近星点(中心天体の周囲を運動する際の楕円軌道の中で,中心天体に最も近づくところ)の移動の様子に特徴が現れることに着目しました。太田さんたちは先行研究で行われていた計算を改良し,中心天体に非常に近い場合にもブラックホールと裸の特異点とでは特徴的な差異が生じることなどを示しました。この研究は今後,ブラックホールや特異点の性質解明に役立つだけでなく,重力の根本的な性質を理解する上でも有用であると期待されています。

今回の発表タイトル:

太田渓介,小林晋平,中司桂輔

"Perihelion shift and analytical solution for geodesic motion in Janis-Newman-Winicour spacetime"

(画像:太田さん(向かって左),小林准教授)


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