その意味がわかるのは

今日は学芸大の入学式だった。引き続いて行われた新入生歓迎講演会では,「HERO」「海猿」「龍馬伝」「ガリレオ」などの脚本を書かれた福田靖さんが講演された。福田さんが脚本家というお仕事に至るまでの紆余曲折や苦労話を面白く,魅力たっぷりに語って下さったので,1時間が本当にあっという間だった。僕にとっても,教員として教壇に立つことを目指している学生たちにとっても,非常にためになる講演だった。
まだ「仕事をつかむ」という経験をしたことのない学生にはあまり実感が湧かなかったかもしれないが,僕にとっては福田さんの苦労話はまるで自分のことのように心に染みこんできた。人生に何度か訪れる絶好球,いつ来るかわからないこの球を逃さぬため必死に素振りを続け,いざというときに全身全霊でフルスイングする。福田さんが「HERO」の脚本を担当することになったときの経緯を聞いて,「これは絶好のチャンスだ」という高揚感や,「ここでしくじったらもう機会はないかもしれない」という緊張感は僕も覚えがある。もちろん,そのチャンスのためには,何も進まないように感じられる地を這う日々を経なければならない。「これでいいのか」「俺には才能なんかないんじゃないか」と,不安が押し寄せるものだ。しかし,僕らには未来を見通す力などないし,そもそも僕らが何かをするまで未来は存在していないのだから,僕らに出来ることはあがくことだけだ。目の前にある,やれることをやるしかない。
ただ不思議なもので,進んでいると見えてくる景色がある。やってみないとわからないことが山ほどあるのだ。いや,やってみないとわからないことしかないと言い切ってもいい。ひとつとして想像と同じ現実等ない。当たり前だ。だからとにかくやってみればいいのだ。思っているほど,冒険したからって文句を言う人はいない。冒険したことを羨ましがる人は山ほどいるけれど。
学生には,子供たちに自分がいかにたくさん選択肢を持っていて,世界は広くて,自分は自由なのかを見せてあげられる教師になって欲しい。そのためには先生自身が様々なものから「自由」でなければならない。そのときにこそ学問が必要になる。学問が生きてくるはずだ。それを伝えるのが僕の役目だ。そしてもうひとつ,僕はやむを得ない理由で選択肢を持てなくなっている世界中の多くの子供たちのためにも動こうと思う。難しいかどうか,出来るか出来ないか,そんなことは考えるだけ時間の無駄だからな。

Kobayashi Shinpei / 小林晋平 Website

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