夜学

結婚して子供も出来ると,生活スタイルは朝型になる。早朝の活用は大事だが,夜でないと進まない仕事もある。朝っぱらからニヤリと笑って何かを企む人はあまりいないだろう。研究も同じで,少し野心的なことや冒険的なテーマを扱うには夜でないと難しい。冷静になっていては奮い立たないこともある。朝は優等生的過ぎる。
聞いた話では人間は直接光で見たものにはあまり理知的な対応が出来ないらしい。逆に反射光で見たものには理性を働かせて対応が出来るようだ。確かに言われてみると,論文を書いているときにパソコンの画面で見ていては見つからない誤植も,プリントアウトして紙で読むとすぐ見つかるという経験は何度もある。僕の知る限り全ての研究者仲間が同じことを言っていたから,僕だけの主観的な思い込みではなさそうだ。ひょっとすると日の光のもとでやる研究と夜にやる研究にも自ずと違いが生まれるかもしれない。
夜学の効果は江戸時代から知られていて,私塾でも夜に講義を行うところがたくさんあったようだ。俺もそれを真似てたまには深夜に講義をしてみてもいいかもしれないな。意外と盛り上がるんじゃないだろうか。もちろんそれは進学校がやっている勉強合宿のようなものではなく,いろんな分野を縦横に動き回り,それらの知恵の経緯(たていと・よこいと)でもって何かを織り成すようなものにすべきだろう。野心的な試みこそ,夜にはふさわしいのだから。

Kobayashi Shinpei / 小林晋平 Website

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