『上達論』

武術研究家の甲野善紀先生からご近著『上達論』をご恵送いただきました。基本という言葉の呪縛は私も常々教育の場面で感じていたところです。ありもしない「基本」というものに固着することは,恐ろしいことに「どうなりたいのか」を考えることもなしに物事を進めることを可能にしてしまいます。それは苦痛でしかないはずなのに,なぜか「基本をしっかりやっていればいつか上達する」とほとんどの人が思い込み,つぶれていきます。

残念ながら絶対的な「基本」なるものは存在しません。すなわち,わかりやすい「これだけやっていればいい」という体系は存在しないのです。あるのは,いくつかの事物を並べたときに並び順によって理解しやすさや体得しやすさが変わるということだけです。その際に一番最初に並べられるものを基本と呼びたくなりますが,実は「どう使うか」「最終的に何に使うか」によってそうした順序は変わりうるのです。大切なのは大前提にすら,無意識の大前提が存在していて,私たち人間は何をするにもその俎上にいるということを忘れないことです。

1/26には甲野先生と独立研究者・森田真生さんと甲野先生の対談「この日の学校」が開催されるとのこと。テーマが「身体のリミッターを解除する」であると伺い,まさにこうしたことについて,軽々と大前提を越境していくお二方からお話をお聞きすることができると思います。研究室のメンバーは卒研発表会・修論公聴会の直前の時期ですが,「身体のリミッターを解除する」と聞いて,全員が聴講したいと申し出てきました。「自分が聞くべき話がそこにある」と直感したのでしょう。こうした「捕まえにいくセレンディピティ」って大事ですよね。

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