夜学/Naked Singularities Vol.2 開催延期によせて

2月28日に開催を予定していた「夜学/Naked Singularities Vol.2」は,新型コロナウイルスの感染防止・拡大防止のため,中止することとなりました.

楽しみにして下さっていた皆様,実現のためにご協力して下さっていた皆様,このような形になってしまったこと,本当に申し訳ございません.この事態が終息し,落ち着きましたら,必ず改めて開催致しますので,その折にはぜひ足をお運び下さいますよう,お願い申し上げます.


改めて開催する際にはさらに趣向を凝らし,世界のまだどこにも存在しない "超実験的サイエンスエンターテイメント"をお見せするため,気持ちを切り替え,すでに次へ向けて作戦を練っています.

ただ,すぐに前向きになるにはちょっと引っかかる一抹の寂しさももちろんあります.「夜学」では小林研の学生が積極的に関わっています.学芸大は教員養成系大学なので,小林研の学生も多くは教員を目指しています.そうした彼らにとって,教員になる前に多くの方々の前でお話ししたり,楽しませたり,難しい話を直感的に伝えたりする体験は後々非常に役立ちます.それに加え,出演したり,裏方をやったりすることで,学生たちが「こんな世界があったのか」と,感染体験や戦慄体験を味わえる場所にもなっています.

僕は学生に,「自分もこの人みたいになりたい!」という感染体験や,「思わず自分を鍛え直したくなる,鳥肌が立つような」戦慄体験を味わってから社会に出て欲しいと思っています.いずれもそれは知らず知らずのうちに自分に嵌めていた枠や,線引きしていた境界線の向こうを見る体験ですが,そうやって「世界って本当に広かったんだ」と体感し,その広い世界で自分が自由であることを体得できるような経験を積んで欲しいのです.そうしたことを心から得心している人でなければ,「誰しも無限の可能性がある」などという「綺麗事」を心の底から信じることなどできないと思うからです.

今回の夜学では,僕だけでは決して作ることのできなかった世界が皆さんのご協力によって実現し,それを皆で共有できる予定でした.まさに感染体験も戦慄体験もさせてあげられる場が立ち現れる寸前まで行っていたのですが,あとちょっというところでこうなってしまったのは,(もっと早くに断念すべきだったかもしれないという後悔も含めて)本当に残念で仕方ありません.

学生にはタイムリミットがあります.今,小林研には13名の学生が在籍していますが,今年はそのうち学部5名,大学院2名が卒業します.学部生のうち2名は大学院でも小林研に進学しますが,あと5名は学芸大を卒業します.教員になるもの,教員以外の就職をするもの,他大学の大学院へ進学するもの,様々ですが,いずれにしても4月以降に今までと同じように小林研の活動に参加することは難しいでしょう.

忙しい中時間を割いて準備し,夜学への参加をとても楽しみにしてくれていた学生たちの何人かが,少なくとも予定していた通りの方法では夜学に参加できないのはとても残念で,このようなことになってしまったことを本当に申し訳なく思います.

もちろん,この状況が終息してから,日を改めて開催し,それを通じて,感染体験も戦慄体験もさせてあげたいと思いますし,させてあげるつもりです.でも,どこかに感じる一抹の寂しさ,それはきっと埋めることのできないものとして,あり続けるのでしょう.

毎年この時期に学生は巣立っていくわけですが,なんというか,彼らと一緒に過ごせたことは幸せだったと感じます.指導教員と学生という師弟関係ではあるのですが,彼らと過ごす時間はそうしたものを超えて,家族のような時間というか,仲間と過ごす時間というか,何とも表現できない楽しい時間でした.彼らが卒業する前に,もう一度,一緒に何かを作り上げたかったな,と思います.

至る所に、同じように悔しい思いをしている人たちがいることでしょう.こうなった以上は,時間を掛けて練り上げ,ぶっちぎりのクオリティと面白さで次は仕掛けたいと思います.何なら卒業したOB・OG たちも参加できるような仕掛けも考えて.

ひょっとしたら,次の夜学はもう野外フェスにまで進化しているかもしれません.海外各地で行うのもそう遠くないことでしょう.そうやって「あの人みたいになりたい!」とも,「あの人の凄さに鳥肌が立った…」とも思われるところまで僕も成長したいと思います.と,40代も半ばのおっさんが,無限に成長する自分を信じて誓いを立てるのでした.

さて,改めて開催する「夜学/Naked Singularities Vol.2」,テーマは「次元」です.日取りが決まり次第告知いたします!!!お楽しみに!!!!!

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