宇宙を知るための物理学入門:第6回 一般相対論〜図形と重力は似ている〜

朝日カルチャーセンター横浜教室の講座「宇宙を知るための物理学入門」,第6回となる今回はいよいよお待ちかねの一般相対論。テーマは「図形と重力は似ている」でした。


図形と重力の何が似ているのか。重力には加速度運動によって局所的に消せて,大域的には消せないという性質があります。一方図形の方は,例えば地球の表面のような球面を考えればわかるように,ごく狭い領域を見ている分には平らに見えるけれども,遠くから球面を眺めると曲がっていることがわかるという性質があります。球面に限らず,滑らかな図形は局所的には平面のように見えます。

こうした滑らかな図形を一般化したものが「可微分多様体」と呼ばれるものです。三角形や球のような絵に描きやすい図形以外にも,私たちの住む3次元空間や4次元時空なども多様体の一種と捉えることができます。

重力は曲がった4次元時空という滑らかな図形として数学的に矛盾なく表現することができ,そうした定式化に基づいた計算から得られた重力の性質は,実際の観測とよく一致しているのです。


次回2月8日(土)の講座では具体例としてブラックホールを取り上げるとともに,それらを観測するための重要な手段である電磁波と重力波についても触れたいと思います。

Kobayashi Shinpei / 小林晋平 Website

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