只管打坐・只管打算 その1
世の中には様々な仕事がありますが,自分でやったことのない仕事の中身はよくわからないものです。僕たちの仕事である「研究」もまた,そうしたものかもしれません。研究にもいろいろありますから,分野によって仕事の進め方もいろいろです。僕は物理学者ですが,普段僕たち物理学者が研究室の中で何をしているか,想像がつくでしょうか?
物理学も広いので,研究室ごと,研究者ごとに研究の進め方は違ってきます。「夜学/Naked Singularities」では,僕らが普段どんなことをやっているのかを「展示する」というパフォーマンスもいくつかありました。その一つが「只管打坐・只管打算」です。
僕は物理学の中でも理論を専門としていて,研究室の学生たちとも理論をメインとした研究をしています。学生の興味ごとに,ブラックホール班,宇宙論班,数理物理班,メタマテリアル班の4つのグループに分かれています。このうちメタマテリアル班だけは実験的な研究を行っています。
さて,理論物理学の研究ではたくさん計算をします。計算にはシミュレーションなどの数値計算も含まれますが,小林研では手計算をすることの方が多くあります(数学の証明などは手計算でないと難しいですし,実験やシミュレーションの場合にも手計算でないと物理的本質が引き抜けないことはいくらでもあります)。計算の中には面倒なものも多く,結果を一つ出すまでにA4用紙に何ページも計算することはざらです。
「只管打坐・只管打算」では,そんな普段からの計算を実際に目の前でお見せしました。今回は学部4年生の1人が,ブラックホールに関する相対性理論のある計算を行い,1時間半という決められた時間の中で結果を出せるかどうか,試みました。(その2へ続く)
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