目標

小林研では,研究を進めると同時に,そこで僕ら研究者が感じている興奮や面白さを,エンターテイメントに昇華させることで,世界に新しい学びの潮流を作ろうとしています。さらには学びによる街づくり,国づくりの実現へ向けて邁進します。

例えば,「夜学/Naked Singularities」のスケールアップはもちろんですし,動画やラジオの配信,夜学からスピンオフとして生まれたいくつものプロダクトの制作・販売,もうひとつの「やがく」である「野学」の実現など。

「次世代型教育」という言葉はよく聞きますが,コンテンツも目標も,言うほど「次世代」でもなんでもないことがほとんどです。「真に新しい教育」とは何か,僕は学びと生きる喜びが直結しているものがその答えのひとつだと思います。

僕らは飯を食えなければ死んでしまいます。明日の飯が確保できなければ安心して生きていくことはできません。性善か性悪かはわかりませんが,僕ら人間が「性弱」であることは間違いありません。そのくせ,「この世は生きるに値する」という確信を持てないと,なぜか虚しくも感じる面倒な生き物です。

以前,信濃毎日新聞の科学コラムでこんな文章を書きました。

----------
私に限らず、「時空」や「宇宙の始まり」、「宇宙の果て」といった言葉に魅力を感じる方はたくさんいらっしゃると思います。それは、私たち人間が「遅れてきたプレーヤー」だからではないでしょうか。私たちはルールを知らないまま「世界」に放り出され、プレーすることを要求されます。どんな理(ことわり)が私たちを縛っているのか、そもそもなぜ自分がプレーしなければならないのか、疑問に感じるのは当然です。 かといって、物理を学んでも、宇宙の研究をしても、その理の全てがわかることはないでしょう。ましてなぜ自分がここにいるのかは決してわからないでしょう。しかし、それでもいいはずなのです。答えがあろうがなかろうが、「なんだ、やっぱりこの世界は綺麗なんじゃないか」と確信できさえすれば、私たちは前に進めるのですから。
-----------

(信濃毎日新聞 知・究・学「時空の旅へ ようこそ」第20回 2018年12月17日朝刊)

世の中には様々な理由から,「なあんだ,この世界はやっぱり綺麗なんじゃないか」と思えない状況に置かれている人がたくさんいます。生まれた時から自分の国が紛争状態なら綺麗もへったくれもないでしょう。貧困だの暴力だの,そうしたものにさらされていたら,「世界は本当は綺麗」なんてほざいたところで虚しく響くだけです。そんな遠いこところの話でなくても,雨が降っている中で,「雲の上は晴れてるんだよな」なんて思える人間がどれだけいるか。

甘くはない,甘くはないけれども,僕には「でも,きっとうまくいくんだよな」という,不思議な確信があるのです。最後にチェ・ゲバラの言葉を自分の肝に銘じて,気合を入れようと思います。

『もし私たちが空想家のようだといわれるならば、救いがたい理想主義者だといわれるならば、できもしないことを考えているといわれるならば、何千回でも答えよう「その通りだ」と』

Kobayashi Shinpei / 小林晋平 Website

- ENHANCE THE HORIZON -

0コメント

  • 1000 / 1000